狭き門

今日確信したことがある。私は洗濯物を干すのが嫌いだ。洗濯機を回すのも、洗濯物を畳むのもそんなに苦には感じていないけれど、その二つの間にある「洗濯物を干す」という工程は私にとってかなり苦だ。もしかしたら全家事の中で一番嫌いかもしれない。

 

なぜこんなに嫌いなのか?

それは、洗濯物を干すことが「針に糸を通したいのになかなか通らない」、あの感覚に似ている気ようながするからだ。


いやいやそれは違うでしょ、あなたが不器用なだけでしょうって思った人!絶対にいると思うし、私の母にこの話をしたら絶対にそう言うと思う。そうだ。私はものすごい不器用なのだ。


私の家は、木から伸びた枝が円状に広がっているみたいな形の洗濯物干しスタンドを使っている(伝わる??)その枝のところに洗濯物を引っ掛けていくスタイルなのだが、Tシャツの袖を上手く通せなくていつも何回もやり直す。そう、まさに針に糸が通らないイライラ感!!!!!あれを感じる。

それでも頑張って干し続けて、「よし、あと少しだ!」という時になって干す場所(枝)が足りないことに気付く時がある。そんな時、洗濯物のあの湿った感じがたまらなく嫌だと感じる。湿った感じで私を馬鹿にしているようにしか思えない。干す前の洗濯物は濡れているのが当たり前なのだから、言い掛かりにも程があるのは自分でも分かっている。でも、その瞬間だけは本気でそんなことを考えてしまう。


「針に糸を通したいのになかなか通らない」

それは、行きたいところに行けない、というのに近い気がする。受験に受かってあの学校に通いたいのに、あの賞を取りたいのに、あの子のようになりたいのに、それが叶わない。針の穴が小さ過ぎて、あまりに狭き門で、なかなか向こう側に行くことが出来ないもどかしさ。きっと誰もが感じたことがあるはずだし、洗濯物を干していると何だかあのもどかしさが蘇ってくるよう……


と、ここまで文章にしてみて気が付いた。私にとっての狭き門が洗濯物の袖を通す細い枝なのか??それに、洗濯物を干すだけのことがここまで飛躍してしまっているのか!??なんというか、私は改めて救いようもない不器用だ。技術的にも、精神的にも


だからもうネタにしてしまう。こうやって書き残すことができれば、救いようもない不器用がほんの少しだけ救われる気がする。

「世間と自分との溝に針落としてこそ始めて音を奏でるのが俺のHIP HOP」

じゃないけれど、少しだけそんな感覚。


梅雨に入ったから、これからは部屋干しばかりになる。そうだ、音楽を聴きながら洗濯物を干すことにしよう。ただでさえ時間が掛かっているのに、もっと時間が必要になるのは間違いないけれど。


でもそれでいい。どんなことでも楽しい方がいいに決まっている

 

 

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